これは私の備忘録の公開です。ここに書いてあることや不完全な作業を行い、事故や不利益を被ったとしても私は責任を負いかねます。ご了承ください。

慣れれば、これらの作業時間はフロント30分リア45分程度です。初めて交換に挑戦する方は着脱を含めて1本につき半日から1日かける気持ちでゆっくり作業してください。タイヤは捨て、チューブも同時に交換するのなら、古いタイヤとチューブには練習台になってもらい、1日かけて何度か着脱練習すると短時間で作業できるようになります。

交換作業はフロントの方が容易で、ビジネスバイクや自転車のMTBのタイヤ等と同レベルです。リアはチェーンとブレーキ周辺の着脱が発生しますのでやや複雑です。リムがフロントに比べると重くなるため少々扱いづらいですが、フロントができる人はゆっくり作業すれば大丈夫です。 タイヤ交換のついでにフロントはメーターギアに硬めのグリースを補充、リアはハブダンパーの交換とチェーンを外す前に伸び具合の確認をしておくと自分の走りでの距離に応じた伸び具合が把握できると思います。


用意する工具類。空気入れ、エアゲージ、タイヤレバー2-3本、ビードワックスまたはシリコンスプレー(有機溶剤を含まないもの)、ベビーパウダー(タイヤとチューブの貼り付き防止)、切ったビニールホースもしくはリムプロテクター、バルブ虫回し、12ミリのレンチ。

てこの原理でタイヤを外しますので、レバーは大型の物のほうが作業が容易になります。靴べらのような形状のものと昔からのスタンダードな形状のものがありますが、双方を合わせて3本でも良いと思います。
リムプロテクターなる商品がありますが、このように切断したビニールホースでも大丈夫です。滑らないのでかえって使いやすかったりします。師匠はリムとレバーの間にボロ布を噛ませて作業していました。

ビードワックスは小さいものでも十分です。少量しか使用しませんから、食べたり顔や体に塗ったりしない場合はこのサイズでも10回程度使用できると思います。
バルブコアを緩めてエアを抜きます。一気に抜こうとしてバルブコアをいきなり外してしまうと、どっかに飛んでいってしまうのでご注意ください。同時にチューブ交換する場合は、古いチューブのコアを捨てずに予備として保存しておくと良いです。

虫回しを買うときは短いものの方が良いです。車用で30センチ位ある長いドライバー状の物が販売されていますが、バイク用としては使いづらいと思います。
足で踏んでビードを落とします。GNのタイヤはバイアスタイヤで柔らかく、偏平率も高い上にチューブタイヤなので比較的容易に落ちるはずです。裏返して反対側も同様に落とします。傷防止にダンボールかボロ布などを敷いて作業すると良いです。
ビードが落ちた状態。両面、全周このような状態にしてください。 画像を拡大
上から見た状態。タイヤを掴むとリム内部が見えるようになります。
ビードをすべて落としたら、ビード全周に渡ってワックスを塗るかシリコンスプレーを吹き付けてすべりを良くします。パンク修理ではなくタイヤ交換が目的の場合は、タイヤは捨ててしまいますからCRC556とかでも良いと思いますが、チューブを再度使用する場合はチューブには付着しないようにしたほうが良いと思います。

ビードワックスの代用に556を使用するのは、ゴムが膨潤するので良くないといわれますが、実際には問題ないことも多いようです。ただ、ゴムの劣化や変質は見た目ではわかりませんし、タイヤは命に直接関わってくる大変重要なパーツですので、私は組み込みに556は使用しません。
タイヤレバーの先端を最小限だけビードの辺縁にかけます。こじった時に滑って外れる場合はあと僅かだけ深くかけます。最初からレバーを深く差し込むとチューブも一緒に挟んでしまい、破損させてしまうので注意してください。チューブを新しいものにするのならこの点を気にする必要はないと思いますが。 画像を拡大
レバーを掛けているポイントの対極付近のビードを足で踏んで十分に落としてください。こうすることにより、リムの一番深いとこりにビードが落ちるため、レバー付近のワイヤーに最大限の余裕ができて外れやすくなります。
画像では見づらいですが、レバーの下にチューブがあります(縞々の模様がある物)。そっとレバーを少しだけこじって、チューブも一緒に付いてこないか注意してください。
レバーをリム中心方向にそっと倒すとタイヤだけがレバーに掛かってきます。 画像を拡大
ビードが一箇所持ち上がりました
倒したレバーを左手や足で押さえたまま、10センチ弱離れた部分へ同様にレバーを掛けます。
レバー3本で外す場合は、この2本を先ほどと同様に一緒に押さえたまま3のあたりに3本目を掛けます。2本で外す場合は20センチ弱離れた箇所(2と3の間あたり)にレバーをかけてください。この時点で手でも外せるようになると思います。
この程度外れれば、レバーはすべて抜いても大丈夫です。
あとは手で引っ張るだけで容易に全周外れます。
片側が外れました。この時点でチューブを取り出します。
チューブはバルブコアを入れてエアを軽く充填し、空気漏れテストと称する放置プレーをしておきます。
もう片方は上手くやるとレバーなしで外すことができます。外れない場合はこのようにレバーを掛けて外します。

パンク修理の場合はこの時点で何が刺さっていたかを必ずはっきりさせましょう。タイヤのトレッド面と内面を目視で確認の後、丸めたタオルやウェスで内面を全周に渡ってなぞり、引っかかる物が突き出していないかを慎重に確認してください。チューブ交換で済ます場合もパンクしたチューブにエアを充填してから水に漬けて穴の開いた位置を確認し、タイヤの対応する箇所は内面・トレッド面ともに特に念入りに観察してください。異物の除去を怠ってチューブ交換すると、当然ですがまたパンクします。
GN125H、リアのリム内部です。昨年チューブレスを履かせようかと考えた時に、これを見てチューブレス化は中止しました。形状がチューブレス用のリムとは違います。 画像を拡大

私はチューブレス化は積極的にはお勧めしません。そもそも、このリムにはビードを固定するハンプが存在しませんので、空気圧でビードをリムに押し付けているだけです。空気圧低下に気付かなかったり、走行中に何らかの突起に乗り上げると、瞬時に空気が抜けてビードが落ち、タイヤが外れると思われます。前後ともにリムの工作精度やフランジの気密はかなり良く、チューブレスバルブ追加のみで履けるとは思いますが、使用できることと、それが安全かどうかは全く別問題です。
新しいタイヤはIRC NR21 3.50-16 です。このタイヤを使用したことがある方はわかると思いますが、軽点のマーキングがありません。フロント用のNF20にもありません(どの位置も重量に偏りは殆ど無いというIRCの自信のあらわれ?)

私は前回の交換時にはその点は気にせずに組みました。二輪用のタイヤは、その形状や細さからいって重量の偏りに起因する振動やブレは上下方向に発生すると思われ、サスペンションで吸収されてしまうように思うのですが、どうなんでしょうか。
ビードの内側と外側全周に渡ってビードワックスを塗ってから、タイヤの中にチューブ貼り付き防止にベビーパウダーを少量打ったのち、リムを置き、とりあえず片側を嵌め込んでいきます。

IRCのタイヤを使用する場合は貼り付き防止の処置は不要です。(なにかツルツルするものがあらかじめ塗ってある)サクラタイヤはこのような処理は無く、やはり国内メーカーは仕事が丁寧だと感じます。
これはレバーなしでも対処できるかもしれませんが、このように手前にこじっても良いです。

あとは一度入った部分が外れないように足や手で押さえながら嵌め込みます。この時点ではチューブを傷つける心配はないので、いろいろ試行錯誤してみると良いです。

回転方向の指定のあるタイヤを使用する場合は向きに気をつけてください。作業が終了してから間違いに気付いた時は悲惨です。
片面が全て入りました。裏返します。
チューブを入れます。師匠は新品のチューブでも最初に一度エアを充填して全周に渡って水に漬けてエア漏れしていないか確認していました。バルブ付近から入れていましたので、自分もそうしています。

チューブを入れたら、一度、軽くチューブが膨らむ程度に空気を入れてまた抜き、チューブの弛みをとります。人によってはこの時点でバルブコアを入れてしまって、緩く空気を充填した状態で作業する方もいるようです。
バルブをリムに差し込んだらすぐにナットをねじ込んでおくと、何かの拍子に「スポッ」とリム内に口金が引っ込むという悲しい思いをしないで済みます。
バルブ付近のビードを嵌め込んですぐ、師匠は何度もバルブの頭を押して、ビードとリムの間にチューブが噛んでいないか確認していました。全体の4分の3程度までは素手で簡単にはめ込むことができるはずです。一度嵌った所が再び浮いてこないように手や足で押さえながら作業を進めてください。

画像では右手にカメラを持ったため左手しか映っていませんが、実際には嵌った部分を膝で押さえながら両手でここまで作業しています。
最後の部分が入りづらい場合は足で踏んではめ込みます。GNのタイヤサイズの場合は組み入れ時にレバーでこじって入れる必要はないはずです。
バルブ付近はチューブが噛みやすいので特に注意してください。バルブ付近のサイドウォールを両側から掴んだり、バルブを何度も押してやると良いです。

チューブがちゃんとタイヤ内に収まっている場合はこの画像のように口金がかなり引っ込みます。(ナットをねじ込んだりエアを充填すると出てきます)
エアを充填する前にチューブを噛んでいる箇所がないか、十分チェックしてください。もし噛んでる部分があったら、少し離れたところ(5センチ程度)をタイヤレバーで「そっと」持ち上げてやると大抵引っ込みます。
ビードとリムが密着するまでエアを入れます。私は3kg/cm程度入れ、ビードがきちんと上がっているのを確認した後に適正空気圧まで下げています。黄色の囲み部分のビードが全周きちんと上がっているかを確認してください。 画像を拡大
ついでにハブダンパーの交換もしておくと良いと思います。
新品のタイヤと12500キロ走行のタイヤ。どちらもホイールから外した状態。なんかもう、磨耗しているとかじゃなくて形状そのものが変化しちゃってますね(;´Д`)。タイヤって内部構造も結構痛むのかもしれない。

使用開始から7ヶ月で使い切ったのと、屋内保管なのでゴム質はまだ大丈夫ですが、トレッドが薄くなってるせいか1万キロ以後は良く滑りました。

これでもスリップサインはどの箇所もつながっていません。


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