GN125H バルブクリアランス調整( タペット調整)


20121017


バルブクリアランス調整( タペット調整)について

このページの記述には誤り(頻繁)や記憶違い(得意)、妄想等(好き)・・・がある可能性があります。ここに書いてある通りに作業した結果、何らかの問題が発生しても私は責任を負いかねますのでご了承ください。


前々から一度はクリアランスは測定しなきゃとは思っていたものの、面倒くさいのと調子よく走れているので先延ばしにしていたタペット調整。重い腰を上げて36000キロ時点で調整しましたが、この調整は奥深いようで結構エンジンの性格が変化します。また、吸気側のクリアランスは規定の上限値の2倍以上に開いていました。


必要な工具類。10,12,14,17mmのメガネレンチ、14ミリソケットとスピンナハンドル(必要に応じてエクステンションも。できればT型レンチのような、ソケットがリジットに固定されているものの方が感触をつかみやすいです。)、シックネスゲージ(複数枚組み合わせることなく1枚で調整したい数値が出せるものが良い)、10ミリの6角レンチ、マイナスドライバー
バルブ(タペット)クリアランスはエンジンに触っても暖かさをまったく感じないような完全に冷めている状態で調整する必要があります。

タンク、シートをはずします。シートは四角で囲んだボルトを片側二箇所、合計4箇所はずして後方へ引っ張ると簡単に外れます。
タンクは、燃料コックを閉めた後、燃料ホースを外してこの二本のボルトを外し、少し持ち上げながら後方に引くと外れます。
コックの吐出口に、燃料ホースの切れ端でこのようなメクラ蓋を作って差し込んでおくと良いです。

タンクは寝かせるとガソリンが漏れてきますので、上面を開いた硬いダンボール箱や角材を2本渡したもの等で燃料コックを逃がし、車載時と同じ状態で置いてください。
排気側、吸気側のタペットキャップを外します。17ミリのレンチで回ります。
GNの場合はここからがちょっと面倒です。上手く撮影できなかったのですが、奥にスプリングのようなものが見えると思いますが、これがロッカーアームを下方向へ押しているのです。

この意味不明なスプリングのせいで0.04などの薄いゲージは隙間があっても普通には差し込めませんでした。私のゲージがナマクラなだけかもしれませんが。
タイミングホールのボルト(キャップ)を外し、クランクシャフトホールキャップも外します。

ここは10mmの6角なのですが、ちょっと緩かったので紙を挟んで緩めました。



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ギアをニュートラルに入れてクランクを14mmのソケットで反時計回りに回し(もし、行き過ぎても逆回転させず、反時計回りでやり直す)、ケースに刻印されているマークとフライホイールの切り欠きを合致させて圧縮上死点を出します。フライホイールに打刻してある線は結構細く、注意深くゆっくり回さないと行き過ぎてしまいます。

4サイクルはクランクが2回転(720度)で1行程となるので、排気時と圧縮時の2回合いマークの前を切り欠きが通過することになります。適当に合わせても圧縮上死点である確率は半分であり、ひょっとしたら排気(オーバーラップ)である可能性もあるわけです。

その判別(圧縮上死点の出し方)についてですが、圧縮時はバルブが完全に閉じているはずですので(バルブまわりがイカれているエンジンを除く)ゲージが入るはずです。ただ、GN125Hはさきほどのスプリングが存在するため、薄いゲージは圧縮上死点でも差込み困難です。また、クランクを回していくと当然中の空気が圧縮されていってバルブなどから「シューッ」と漏れ出す音が聞こえ、切り欠きが合いマークを過ぎると急に回転に要する力が軽くなることでも判断できるかと思います。(プラグを抜いていない場合)

私は切り欠きに近づくにつれてクランクが重くなり、圧縮された気体が漏れ出す音、排気側に0.1mmのゲージが差し込めるか差し込めない(バルブを押している)かで判断しました。慣れると音と手ごたえのみで大体の圧縮上死点が出せるようになるはずです。
まず、排気側の現在のクリアランスを測定したところ、約0.16mmでした。0.15のゲージを差し込んで動かすとスカスカで容易に動き、0.01mmを加えた2枚のゲージを差し込むと抵抗感を感じつつも動かすことはできますが、スカスカではありません。

これは指定されたクリアランスのちょうど真ん中あたりの数値であり、36000km走行でこの狂いの無さはなかなか優秀なのではないでしょうか。
排気側のクリアランスは規定値内であったため、音を出していたのは吸気側かと、いやな予感を感じながらも0.1mmを差し込むとゲージはスカスカ。(規定値は0.04mm-0.07mm)0.15を差し込んでも何の抵抗もなく容易に動く・・・・・・

おいおい、今日まで規定最大値の2倍以上の大サービスだったのかよ (;´Д`)ハァハァ。 怖くなったのでそれ以上の数値のゲージは差し込みませんでした。

ふと思ったのですが、これはエンジン工場で排気側と同じゲージで隙間を調整したのではないのでしょうか。工場を出た時点で正しく調整されているエンジンが、熱的に狂いの出やすいと思われる排気側は基準値内なのに、吸気が正常値の2倍以上も開くものなのでしょうか。

先ほども述べましたが、このエンジンは疫病神のようなスプリングがロッカーアームを押さえつけているため、やわらかく薄いゲージを普通に差し込むことが困難です。ですので、

一度大きく隙間を開けて調整目的値のゲージを差し込んだあとにスクリューを元の位置まで戻し、そこから少しずつ締め込みながらゲージを動かしつつ、抵抗感があるものの動かせる位置でナットを固定する

という方法をとりました。本来は目的のゲージの前後の1枚づつを何度か抜き差ししつつ様子を見るのが良いのでしょうが、クリアランスが小さい状態でゲージを一度抜いてしまうと、特に吸気側の薄いゲージなどは差し込めなくなってしまうのです。

ナットを緩め、スクリューを一時的に大きく緩めた後ゲージを差込み、抵抗を感じながらも動かせるあたりまで締め込み、スクリューの位置を保持したままナットを固定。

これまで吸気側は大幅に広かったので、0.05としてみました。

ゲージを抜き取るときに、隙間を決めた時点よりも詰まってきていないか注意してください。抜き取りが重くなってしまった場合はたぶん狭くなっているので、やり直してください。
排気側も同様に調整。こちらは調整なしでも大丈夫でしたが、せっかくなので0.14mmに。

スクリューが動かないように注意しながらナットを固定します。ドライバーでアジャストスクリューを固定しないでナットを締めこむと一緒に回ってクリアランスが狭くなりますから、必ずドライバーで固定して締めこんでください。
余談ですが、タンデムベルトに左右の指定があることに今日気づきました。左側にLの刻印があり、左右で形状も違います。

テスト走行へ出かける前に、外したボルトやナットを全て元に戻してあるか確認し、それぞれがきちんと締まっているか確かめてください。

調整後の調子ですが、意外なことに吸気側がやたらと開いていた調整前のほうが回転の上昇もよく、高回転もよく伸び、メカノイズは多かったもののパワーも出ていました。ただ、この状態で長期間走行するのはエンジンには良くないはずです。

今回クリアランスを吸排気ともに最小値近くまで狭めてみたところ、メカノイズは少なくなりましたが、(タペット打音などは皆無)、少々マイルドなフィーリングに。普段から9000回転オーバーまで回す人は物足りなさを感じるはずですが、回しても7500回転程度で、割とおとなしく走る人にとってはこちらのフィーリングのほうが上質で好ましく感じるかもしれません。

後日、何度かクリアランスを変えてみて、吸気側0.05mm、排気側0.14mmとしました。「クリアランスが狭いほうが高回転向きだが、広くしたほうがフィーリング的には良い」との記述を何度か目にしましたが、確かにそうなのかもしれません。

コンマ数ミリ以下の数値でエンジンの性質がここまで変化するとは奥深い。GNは馬力が小さい分、頻繁にフルパワーを絞り出す必要があるため、エンジン特性の微妙な変化が良くわかるように思います。





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