GN125H | エンジンオイルとフォークオイル

エンジンオイルとフォークオイル

2012年5月27日一部追記

エンジンオイルについて

エンジンオイルについては、使うオイルや粘度、交換時期について、バイクに乗る方それぞれに考えがあるかと思います。私自身は、化学合成油を試験的に2度使用した以外、全て安価な鉱物油の10W-40/MAか夏季限定で20W-40/MAです。

確かに化学合成のオイルは劣化の進行が緩く、高負荷走行や高温に強いように感じますが、劣化を感じずに3000キロ走行するのは無理ですし、特に2輪用は異様に高価なものが多い上に国外との価格差が大きすぎると感じ、値段ほどの価値を見出すことができなかったため、安価な鉱物油（これにしてもアメリカと比較すると2倍以上）を2000キロ走る前に交換するほうが良いという考えに落ち着きました。以下は私が主に使用しているオイルです。

UTC 4サイクルオイル 10W-40 MA		よくホームセンターで見かける10W-40 MAのエンジンオイルです。発売元はJX日鉱日石トレーディング。これまでの走行において、ほとんどこのオイルを使用してきました。カインズホームで1L缶が580円。典型的な鉱物油の特性を示し、通常走行で1000キロ程度か7000回転以上を数十分間保持するような若干の高負荷運転で、加速時に重さを感じるようになる等の性能の低下がはじまります。最近はカインズホームで取り扱わなくなったので、現在別の常用オイルを探しているところです。2000kmも使用するとあからさまに劣化するため、1600km-1800km走行で交換していました。特段に性質が優れているオイルではないのですが、劣化の傾向が大体予測できると言う理由で最近まで使用していました。
DCM 4サイクルバイクオイル 10W-40 MA		昨年夏に日本海側の東北縦断ツーリングに行った際、現地の「ホーマック」というホームセンターで発見したオイルですが、東日本以外でもDCMホールディングスの商品を扱う店舗で入手可能です。中部から関西は「カーマホームセンター」、西日本では「ダイキ」で入手できる模様。発売元は住鉱潤滑剤株式会社。上記のオイル同様、典型的な鉱物油の特性です。ヘタりかたも似ており、同粘度・同レンジの鉱物油を使う限りは、どの銘柄もそれ程の性能差はないような気がします。価格は1L缶で540円程度でした。近所で安定して入手できることが判ったので、しばらくこのオイルを使ってみようと思っています。
カストロール 4T 20W-40 MA		暑い時期限定で使用しているオイル。製造側でも耐久性を意識した組成にしているようで、その旨が缶にも記載されている。油温上昇や渋滞路に強く、レンジを欲張らずに20Wからとしているのが良い。マルチグレードのエンジンオイルは低温側の粘度のベースオイルに増粘剤を添加して製造するようで、ピストンとシリンダー間、トランスミッション、湿式クラッチによるせん断で増粘剤の分子構造が破壊され、粘度の低下が起こるらしい。これはベースオイルが硬めだったから夏のヘタリが少なかったのか。鉱物油としては良いオイルですが、低温側が20Wなんで真夏専用オイルですね。価格は1Lで780円でした。同銘柄・同デザインで10W-30のものも存在しており、まぎらわしいです。購入される方はご注意ください。レンジの狭いオイルのほうが劣化が緩やかで好きなんですが、最近は硬いオイルほどワイドレンジになってきている模様。
カストロール XF-08 5W-40		（GNに4輪用オイルを飲ませる実験）これは4輪用のオイルですが、バイクに使用している人も多数確認でき、高温側の粘度は40、減摩剤の配合は表記なし、ドーナツマークの下半分に「ENERGY CONSERVING」の表記無し、GF1～GF5いずれの表示もなし、テフロン（PTFE）やモリブデン系の添加剤使用の明記も無しという、バイクに使用しても問題はなさそうな典型的なオイルです。実際に使用して200キロ程度走行してみましたが、体感できるクラッチの滑りやクラッチの切れが悪くなるといった貼り付きの兆候もありませんでした。しかし、低温側が5Wからと少々柔らかいからか、メカノイズや振動が増加し高回転域まで回すのが少々怖く、4L缶で1980円と価格的なメリットもほとんどないため、次回からは上段のような安価な2輪用オイルに戻します。成分中のリン分が削減されているのは確実ですので、長期の継続使用によりギアがどうなるのかは不明です。しかし、銀色の物体って撮影が難しいんですね。オイル缶を撮影していてXF-08は満足できる画像が撮れませんでした。
ガルフブレイズ 15W-50 MA		これはMA規格で、主としてバイク向けオイルだと思われますが、旧車や古めのヨーロッパ車に使用している方も多いようです。低温側の粘度が15Wで極度に寒い時は始動がどうなるのか不明。最近暖かくなったので使ってみました。交換時は気温が25度程度だったのですが、セルが重くなることもなく一発で始動。エンジンからの微振動は非常に少なくなり、7000回転以上で走行しても油膜が薄くなってくる感覚がなく、トルクも良く出ます。一方で、オイルが温まるまでは若干加速が鈍重となり、気温が20度以上の暖かい時期でも10キロ程度走行しないと本調子の出る油温になりません。市街地主体のチョイ乗りや5キロ程度の通勤への使用には全く向かない粘度です。ロングツーリングや、片道20キロ以上の通勤には最適と思われます。この15W-50は、メーカーとしては400CC以上のバイク向けとしており、小排気量には10W-40を薦めているようです。暖かい時期に使うには非常にGNのエンジンにマッチしますが、このオイルは20リットル缶でしか購入できません。私の年間走行距離は約3万キロで、オイル交換は年に20回以上行いますので注文しましたが、年間走行距離の少ない方は使い切る前に酸化する可能性も考えられます。また、高粘度オイルですので、始動直後の粘っている時のオイルポンプへの負担も気になります。

バイクに4輪用オイルはダメなのか？

自動車用のエンジンオイルはギア付きの二輪車への使用には不適当だとはよく言われますが、多の理由は

SH以降のグレードは燃費向上のために摩擦の低減を考慮した配合になった
テフロン（PTFE）や二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤が配合されている場合がある
燃費対策で特に摩擦低減に重点を置いたGF-1～GF-5規格を通したオイルはクラッチを滑らせる
湿式クラッチやトランスミッションの潤滑とオイルを共有しているため、増粘剤のせん断が早い
ギアの潤滑に不可欠なリン分は触媒を傷めるため、最近の自動車用オイルからは大幅に削減されている

等です。特に問題となるのは燃費対策で減摩剤や固体潤滑剤が添加されている場合と、リン分が少ないことだと思われます。私も上記の通り大丈夫そうなオイルを試してみましたが、交換直後は何の問題もなかったものの、400キロ程度走行したあたりからクラッチの切れや半クラッチのフィーリングが悪化し、

1速から2速への入りが悪くなる
坂道発進時の半クラッチで若干のジャダーが出る

という症状が発生しました。よく言われるギアチェンジが渋くなるという症状は出ていません。不適だった場合はクラッチが滑り気味になるのかと思っていたのですが、耐せん断性が低いことに起因するのか、明らかに切れが悪くなりました。オイルメーカーの販売戦略上、わざと別商品としているのかとも考えていたのですが、気のせい以上の特性の相違はあるようです。エンジン自体に変化はありませんでした。

私の感じでは、「スタンダードな高粘度オイルであればバイク用が入手困難な場合は使っても良いが、クラッチ回りの多少のフィーリングの変化はあるかもしれない」というものです。これらの症状は二輪用MA規格のオイルを使用していても一定の距離を走ると出る症状ですが、四輪用はそれらの発生が早い感じです。クラッチが滑って走行できない等の症状は発生しませんでした。二輪の湿式多板クラッチは構造上完全にはクラッチが切れていないと思われるので、この辺に何らかの影響が出るのは当然なのかもしれません。

また、ドーナツマークとスターバーストマークを取得していないオイルは、詳しいオイルの性質は不明です。

交換時期

納車後の初回は1000キロ弱で交換しました。2回目は3000キロ走行で交換したものの、3000も走るとだいぶオイルの性質が変わってしまうのに気付いたため、以後はもっと短い周期で交換。また、夏場は距離に関係なく熱ダレしたら直ちに交換するようにしています。また、約1万キロ時点でオイルフィルターを交換してみたものの、肉眼でやっと見えるほどの切り粉のような金属粉が多少付着していただけで、想像以上にエンジン内部の部品の精度も高いようで驚きました。（もっと金属バリなどが大量に出るかと思っていた）また、オイルを通してみてもフィルターの詰まりは全くなく、巷で言うほどの頻度での交換が必要になるとも思えないパーツです。今後は1万キロかそれ以上使用すると思います。

オイルフィルターの蓋ですが、エンジンカバーに埋まっている短いスタットボルト3本により固定されています。ここの袋ナットを規定トルク以上でバカ締めすると、スタットボルトが共回りしてアルミのエンジンカバー側のネジ山を捩切ってしまうように思います。ご注意ください。（この部分はもっと上手な設計もあると思うのですが、スズキだから仕方がない）

慣らしが終了してからは1600-1800キロ走行または性能が低下した時点で交換。油温が不安定な空冷エンジン+850㏄という少ないオイル容量もあってか、特に夏場は劣化が激しい模様。私は俗に言う「すり抜け」はしないため、渋滞にはまると油温を上げてしまいがちで、一度高温にしてしまったオイルは冷えてもそれ程性能が回復するわけでもないので即座に交換しています。

粘度について

基本設計が古く、空冷でオイルクーラーもないGNのエンジンに低粘度オイルは向きません。標準での指定粘度は10W-40ですが、夏場の渋滞時や低速かつ高回転を多用する登坂路などの走行において明らかなパワーダウンを感じたため、夏季限定でカストロール4T 20W-40を使用。秋に一度だけ10W-30を使用してみましたが、燃費が向上するわけでもなく、油膜が薄くなったせいかフリクション感が増し、振動の増加やトルクの低下が発生したため、私はお勧めしません。真夏の市街地走行では油膜切れの可能性も高いと思われます。

オリジナルモデルの発売は1980年代前半ですから、エンジン設計時のオイルクリアランスもシングルグレードSAE40あたりの鉱物油を基準に設定していると思われ、オイル依存度の高い空冷エンジンに指定以下の粘度を使用するのは止めておいたほうがいいです。四輪用を使用している方も見受けられますが、高温側の粘度が40以上で摩擦低減剤を含まない（GF表示のない）ものをおすすめします。安価に入手できるオイルはGN向きではない10W-30等の低粘度オイルばかりで10W-40などは高く、四輪用オイル流用による価格的なメリットはないように思えます。二輪向けオイルを使用しても、850㏄とオイル量が少ないためコストは僅かです。

フォークオイルについて

ある程度走ったら是非交換してみることをお勧めします。私のGNは1回目は15000km走行時点で交換。この部分はエンジンオイルと違い、劣化が体感しにくく、交換が面倒な部位ということもあってエンジンオイルほど気にかけない人も多そうですが、交換後は乗ってすぐに判るほどフロントの動きがスムーズになります。

フォークオイル指定容量は左右ともに174ccで指定粘度は標準的な10番です。実家に帰省したときに交換したのですが、さすがにホームセンターなどではフォークオイルは販売されておらず、レットバロンに買いに行ったらスズキ純正は置いてなかったため、仕方ないのでバロンの整備工場でも日常的に使用しているというTARGETという謎ブランドの10番を買ってきました（1Lで1400円。名古屋の油脂会社製）。

交換作業自体はある程度の作業スペースがあれば簡単で、私が交換したときはホイールやブレーキを外してフォークを抜き取り、トップのキャップを外して逆さまにすると何やらメタリック塗料のような金属粉が大量に混じったオイルが出てきました。柔らかめのエンジンオイル等の適当なぁゃιぃ油が入っているのでは？と思っていたのですが、匂いから判断するにパラフィンベースのフォークオイルがちゃんと充填されていました。キャップを開けるのには22㎜のソケットまたはレンチが必要で、鶴見のストレートが近いので購入してから帰省しました。あまり売れる大きさではないのか9.5㎜角用の6角ソケットは点接触のものしかありませんでした。この作業は今後帰省した時の恒例行事としたいと思います。

ご注意　：　ソケットを実家に置いてきてしまったので確かに22ミリであるかは断言できません。また、製造時期によってサイズが変わっていることも考えられます。工具を購入する場合は実車のキャップをノギスなどで測定してください。

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